おっさんに誘拐されて 

2013, 04. 26 (Fri) 20:09


当時を思い出して、切ない表情を見せる苦労人のモル作さん


強制的に引っ越しさせられたモル作さんは、自身を翻弄するモルモットの運命の儚さを嘆きましたが、暫くすると、少し落ち着きを取り戻しました。

さて、この新しい住処は、これまでの住居とは環境が色々と異なります。
まず、自身が拉致された時に放り込まれた段ボールがそのまま入ってます。
段ボールには、彼のおしっこが染み付いた新聞紙が貼り付いてます。
これが中々臭いので、モル作さんは段ボールの外に出てみました。

今度は、別の異臭が鼻をつきました。
これは捕食動物、それもかなり不潔な生き物の匂いです。
モル作さんは、臭気がやって来た上方を見上げました。

視線の先には、巨大な中年男がこちらを見下ろしていました。
しかも、ニタニタと嫌らしい笑みを浮かべています。
これが、実に気持ち悪い。
モル作さんは、心底ゾッとしました。
パニックに陥り、よたよたと段ボールハウスに逃げ込みます。

あのおっさんは、一体何なんだろう。
思考するモル作さん。
殆ど答えは出ませんでしたが、少なくとも、臭くて気色悪い男だという事だけは分かりました。

暫く段ボールハウスで様子を伺っていたモル作さんでしたが、灯りが消えて、おっさんが去った事が分かり、外に出てみました。

地面にはチモシーが敷き詰められていました。
モル作さんは、とりあえず足元のチモシーを食べてみました。
今まで通り、鮮度が悪くて大して美味くもありません。
しかし、モル作さんの身体を流れるギニアピッグの熱い血が、食べる事を止めさせません。

ポリポリポリポリポリポリ…

一頻りチモシーを食べ終えると、眠くなったので、段ボールハウスに帰宅して、暫く眠りました。

ボト、ボトボトッ…

突然、空から何か降って来ました。
これは、隕石に違いないと思ったモル作さんでしたが、目を凝らすと、見覚えのある塊が転がっており、甘い匂いを漂わせています。
それは当時、モル作さんが知る中では唯一まともな味のする食べ物、人参でした。

ポリポリポリポリポリポリ…

モル作さんが一心不乱に人参を食べていると、上方から巨大な手がニュッと伸びて来ました。
おっさんの手でした。
何やら陶器のような物を握っているようです。
この陶器には、常日頃、食べ飽きてうんざりしていたニッパイのモルモットフードが山盛りに積まれていました。

これには、ギニアピッグの熱い血も煮えたぎらず、さすがのモル作さんも食が進みませんでした。

ポリ…ポリ…

- 完 -
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中年男が極限まで女子力を高めてみる ~ パン作り 其の弐 ~ 

2013, 04. 22 (Mon) 23:03


「女子に必要なのは食物繊維とビタミンさ」と飼い主の行動に否定的なモル作さん


- つづき -

かつて偉大な芸術家、赤瀬川原平が『老人力』という書籍を発表しましたが、幸い今は、誰が女子を自称しても逮捕されない時代。
つまり、おっさんの女子力が女子よりも高かろうが、何の問題もない道理です。

さて、薄汚いおっさんの傍には、ビンゴゲームで当てたパンこね機がございます。



今回はこれを使って、女子力をこねこねとこねくり回してやろうかと思います。

まずは、女子らしく、このマシンに名前をつけてみました。
彼は今日から、こね作です。

こね作も、大きな口を開けてご満悦の様子。


いきなり女子力が上昇してしまいました。

こね作のマニュアルには、ご丁寧な図解レシピがついてます。


では早速、パンを作ってみましょう。

レシピに従って、まずは容器に水180mlをぶち込みます♪


続いて、砂糖を20gぶち込みます♪


塩を小さじ1杯ぶち込みます♪


床にぶちまけた塩を掃除します(´・ω・`)


スキムミルクを大さじ1杯ぶち込みます♪


バターを投入します。


強力粉を250gぶち込みます♪


イースト菌を振り掛けます。


容器を本体にセットします。


こね作、GO GO!!!!!


発酵して膨らみました。


焼けました。


パンを振り落として、完成です。


普通に、パンだ。


マーガリン塗ったくって食べてみた。
超美味っ!!


- 完 -

中年男が極限まで女子力を高めてみる ~ パン作り 其の壱 ~ 

2013, 04. 22 (Mon) 04:05


「お腹が空いたら、パンを食べれば良いのに…」と不思議そうな表情で呟く、おフランス被れなモル作さん


先日、友人の結婚式の二次会でビンゴゲームが行われ、空気を読めない中年男性の私は、若い女子達を出し抜いて、パンこね機を当てました。



まんまと会費の元を取った形な訳です。



そこで、人はパンばかり食べ続けてたら、どうなるのかを実験したいと思います。

一ヶ月間、ハンバーガーばっかり食べてたらどうなるか、というようなドキュメンタリー映画が確かあったと思うけど、そんな物ばっかり食べてたら重大な健康被害に遭う事は、分かり切ってます。
そもそも、偏食自体が良くないです。
じゃぁ、偏食って、どの程度の頻度と期間から?
その辺を、試してみようかと。

なぜ、そんな事をするのか?
それは、登山家に何で山登りするのかと尋ねるようなものです。
即ち、そこにパンこね機があるからです。

…という事で、『人はパンを食べ続けると、どうなるか』ってタイトルで書いてみたけど、よく考えたら面白くも何ともないので、趣旨を変更して、『中年男が極限まで女子力を高めてみる』にしますた。

- つづく -

モル作さんを招いて ~ その壱 ~ 

2013, 04. 19 (Fri) 11:15


超屁っぴり腰でほふく前進する初日のモル作さん


タクシー帰宅したおっさんは、プラスチック製の衣装ケースに、モル作さんを移そうと試みました。
しかし、モル作さんは、段ボールに爪を引っ掛けて、必死に抵抗しています。
段ボールから出たら殺されるとでも思ったのでしょう。
そんな姿を見ていると、段ボールから無理矢理引っぺがすのは忍びない気がしてきました。
それに、迂闊なおっさんは、まだモル作さん用の小屋を用意していませんでした。
なので、小屋を買うまでは段ボールを小屋にするのが良いかな、と思い、おっさんはモル作さんを段ボールごと衣装ケースに突っ込みました。
それから、チモシーを大量に投入しました。

衣装ケースに移されたモル作さんは、大層びびっている様子でした。
今日は、急に引っ張り出された挙句、段ボールに詰め込まれて、暫くタクシーに揺られたと思うと、今度は良く分からないおっさんの部屋のプラスチックケースに放り込まれた訳です。
きっと、生まれて初めての恐怖だった事でしょう。
それまで近くで眺めていたおっさんは、暫くモル作さんを放っといた方が良いと思い、部屋の灯りを消して、スーパーへ買い物に行きました。

おっさんが帰ると、モル作さんはほふく全身でケージ内を散策していましたが、おっさんの気配に気づき、段ボール小屋に走り込みました。
とりあえず、元気そうです。
安心したおっさんは、スーパーで買ってきた人参を適当に切って段ボール小屋の前に放り込みました。

台所から遠目に眺めていると、モル作さんは段ボール小屋から這いずり出て、人参をコリコリ食べ始めました。

- つづく -

モル作さんを求めて ~ その参 ~ 

2013, 04. 18 (Thu) 12:51


おっさん宅に来た初日、ビビりまくりのモル作さん


- つづき -

店員のねーちゃんは、虚ろな目でおっさんを見据えました。

「何だ、汚い動物だと思ったら、身も心も汚い中年男だったのね!!」

と、店員は思いました。
思ったつもりが、実際に口にしていました。

しかし、おっさんは意に介しません。
そんな事は1日に24回くらいは言われているからです。

店員がモルモットの入った籠を、フロアの中央に引っ張り出しました。

その物体は、やはりモルモットでした。
全体的に、ホルスタイン牛のような白黒模様で、一部に薄茶色の毛が生えています。
体長は、30cm近くあり、ペットショップにいるフレッシュなモルモットにしては、随分と巨体です。
その大きな身体が、40cm × 50cm程の籠の中で、もぞもぞと蠢いていました。

「…この子は何歳ですか?」

「え~と、、少々お待ち下さい。。でも、この子はあんまりお勧めしませんよ…?」

「え…どどどうしてですか?」

「もう誰にも懐かないと思います」

「…」

店員は、モルモットの年齢を確認しに、お店の奥へ行きました。
この時点で、籠の囲いのような物は取り払われていましたが、モルモットは一歩も動かないまま固まっています。

店員が書類を確認したところ、モルモットは2010年2月生まれで、既に生後2年4ヶ月でした。
人の年齢に換算すると、37歳です。

「えっと…オスです」

曰く、売れないまま今に至るとの事。

後におっさんがこのお店のホームページを確認したところ、2010年3月にモルモットを2頭入荷したという記事が載っていました。
そのうち1頭は、記事が書かれた時点で既に売れていたそうです。
以来、この売れ残ったモルモットは、2年半近く、小さな籠の中で飼われ続けていたという訳です。

入荷当時の写真
(転載の許可はもちろん取ってません)


「こんなに可愛いのにねぇ~」

店員は、モルモットを撫でながらそう言いました。
モルモットは撫でられる度に、びくっ、びくっと強張りました。
全然懐いてません。

恐らく、ここまで成長し切っていて、しかも、人と録にコミュニケーションを取った事もないと容易に推測できるモルモットが、今更売れるとは思えません。
恐らく、死ぬまでここで暮らす事でしょう。
お店側も、そう思っているのでしょう。
他の動物のケージには全て値札が付いているのに、モルモットの籠には値札が付いていません。
おっさんは、とても切なくなりました。

お店の奥から足音がしました。
目を向けると、泉谷しげるのようなおっさんが現れました。

「お、何だ、モルモット買うのか?」

「あ、はい、飼います。売って下さい」

「よしきた、え~と…3000円でいいや。草と水飲み器も付けてやるよ。よし、決まり」

サクッと決まり、泉谷しげるのようなおっさんは、無造作にモルモットを掴むと、段ボールに放り込みました。
モルモットは涙目で、ばたばた抵抗してました。
あの涙目は、今でも忘れられません。

泉谷しげるじゃない方のおっさんは、モルモットをタクシーで連れ帰りました。

こうして、モルモットはモル作さんになりました。

- 完 -

モル作さんを求めて ~ その弐 ~ 

2013, 04. 16 (Tue) 22:41


若かりし頃に飼っていたハム作さん


- つづき -

お店のドアを開けた瞬間、物凄い刺激臭が、おっさんの粘膜を襲いました。
店内は、様々な動物の体臭や排泄物の匂いが複合した、言い様のない臭気に充ち満ちていました。
この臭気は、既に歩き疲れているおっさんに大ダメージを与えました。
おっさんは、自身のおっさん臭と異なる悪臭には耐えられない身体だったのです。
結果、おっさんの思考は完全に停止し、自動運転モードに入りました。

目は虚ろながらも涙ぐみ、野生動物並の悪臭を放ち、はぁはぁ言いながら、店内を徘徊し始めるおっさん。

このペットショップは、広さにして十畳くらいで、小型犬、うさぎ、ハムスター、インコ、亀、メダカ、チンチラ…と色んな動物達がひしめき合っていました。

店内には店員の若いねーちゃんが、ひとり。
この店員のねーちゃんは、唯一の客であるおっさんには全く目を向けず、うんこ座りで伝票を巡っています。
こちらも目は虚ろで、微動だにしません。

暫くすると、おっさんの自動運転モードが終了し、うっすらと意識を取り戻しました。
野獣のような雄叫びを挙げた後、店員のねーちゃんに話し掛けました。

「す、す、す、すいま、すすすいま、すいま、せん!!…も、も、ももも、モル、モルモルモル、モルモットは…」

しかし、店員のねーちゃんは、商品の動物が吼えてるだけだとでも思ったのか、おっさんを完全に無視して魚に餌をやり始めました。

おっさんは、床に座り込みました。
座った目線のすぐ先では、可愛いハムスター達がいそいそと動き回っていました。
おっさんは、昔飼っていたジャンガリアンハムスター達を思い出しました。

おっさんがまだおっさんではない頃、付き合っていた女性がハムスターを飼い始めました。
小柄な可愛いメスハムで、ハム子と名付けられました。
当時若者のおっさんは、ハム子と接して小動物の魅力を知りました。

ある日、付き合ってた女性は、おっさんの誕生日に「はむはむパーク」というハムスター飼育セットをプレゼントしてくれました。
すぐさま、おっさんはペットショップでオスハムを買い、自宅で飼い始めました。
このハムスターは、ハム作と名付けられました。
その後、女性もまたメスハムを追加で飼い、梅子と名付けました。
女性宅ではハム子と梅子、おっさん宅ではハム作、おっさんは三匹のハムスター達と接して、小動物が大好きになりました。

時は経ち、ハム子が老衰で亡くなりました。
ハム子が亡くなって暫くして、おっさんと女性は結婚しました。
その後、白玉というメスハムも迎えました。

どの子も、それはそれは可愛いハム達でした。
しかし、ハムはとても寿命が短い生き物で、みんな2年前後で老衰してしまいました。
寿命の長さとペットを失う悲しみは関係ないのかも知れませんが、ハムスター達の寿命の短さは、おっさんにはとても辛いもので、白玉が亡くなった後、もう二度とハムは飼うまいと思いました。

ちなみに、おっさんと女性もハムスターの寿命並の短さで離婚してしまいました。

店内で感慨に耽っていたおっさんは、ふと、ハムスター達のケージの下に、不審なスペースがある事に気づきました。

「俺は不審さでは誰にも負けない!」

おっさんは這いつくばって、その不審なスペースを覗き込みました。
何やら、黒い物体がピクピク蠢いてます。
更に、その黒い物体の先端で、更に黒い石のような物が2つ、光を放っていました。

「て、て、ててて店員さん!こここ、これは、もしや、モルモルモルモルモット!?」

- つづく -