生存力ゼロ 

2015, 03. 08 (Sun) 02:22

小学4年の頃の話。

剣道で通ってた道場で、同じ学校の6年生と仲良くなって、たまに一緒に遊んだ。
彼は釣りが好きだったので、何度か連れてかれた。
釣りはエグいから嫌だったけど、釣りを否定すると、30分くらい面倒臭い思いをする事になるので、従ってた。

下町の川はどこもみんな汚い。
汚いけど、魚はいた。

ある日の午後、彼と自転車で4、50分くらい離れた所にあるドブみたいな川に行った。
で、1、2時間、だらだら釣りしてた。
段々お腹が減ってきた。

昔、偉い人が「お腹が空いたなら、お菓子を食べればいいのに」と言ったとか言わなかったとかだけど、その時は何にもお菓子を持ってなかった。
食べられそうな物は、魚のえさ用に持ってきた芋ようかんのみ。

芋ようかんの匂いをかいでみた。
あら、香ばしい。。
さつまいもと魚肉が混ざったような香り。
とりあえず、ひと口かじってみた。

「うっ…」

「う、う、うぅ…」

「ぅ…うまい!!」

ちょっと口の中が気持ち悪くなったけど、ちゃんと食べ物の味だった。
なので、彼と半分ずつに分けて、平らげた。

数分後、人生最大の胸焼けに苛まれた。

どう考えても、魚用芋ようかんのせいなんだけど、元々悪い頭が、芋ようかん食ったせいでラリって来た為、原因を特定できなかった。

「風邪…かな?」

確かに、悪寒がする。

それでも暫くすると、少し回復してきた…というのを期待したけど、実際は更に悪化して、2人とも長い間、悶絶し続けた。

原因をあれこれ考えて、ようやく、思考が芋ようかんに辿り着いた。
パッケージの注意書きを読むと、お菓子ではない旨が記載されてる。

「これ、人間は食べちゃ駄目なんだってさ…」

余計気持ち悪くなった。

「う、ぅぅううぅ、どどうしよっ…か…うぼ」

こんな状態で自転車なんか乗れない。
乗れたとしても漕げない。
自転車を漕ぐ事を考えただけで、気持ち悪くなる。
喉の渇きも異様だった。

「ぃいくら持ってる?」

2人合わせて100円ちょぃ。

6年「炭酸、炭酸買っ…てきて」

おれ「歩けない」

6年「ぃ、い、い、いから早く買ってこいよ」

年長者の圧力に屈して、ヘロヘロと使い走った。

自販機はすぐに見つかった。
だがしかし、コーラやサイダーといった既知の炭酸飲料は売ってなかった。
今まで見た事がない炭酸飲料が1つあった。
他の飲料水よりも10円か20円程度安い模様。
これには、何だか猛烈に嫌な予感がした。

けど、他の自販機探す体力なんか残ってないし、引き返すのも面倒臭かった。
なので、その場で絶叫した。

「変なのしか炭酸売ってないよ!!」

「………あー、いいよそれで!早く!」

2人分の持ち金を投入して、その炭酸飲料を買った。

河原に引き返すと、俺から炭酸飲料をひったくる年長者。
蓋を開けると、プシュー、とか鳴って、超うまそうだった。

おれ「俺が買ってきたんだよ!」

奪い返して、ごくごくごくごくごく…

おれ「ぐぇっっ、まずっっ、、」

6年「え、マジで?」

彼も、ごくごくごく…

6年「ぬはっ、くさっ!!」

ほんのり回復してきてた体調も急降下。
日が落ちてきたけど、2人ともぶっ倒れたままだった。

それから1時間くらいは、う~、とか、あ~、みたいな、生存確認のためだけの唸り声しか出せずに、会話も全然なかった。

それから更に1時間くらい経って、やっと何とか起き上がれた。
で、半分失神しながら自転車漕いで帰宅した。

この日、少年はドクターペッパーの殺傷力を体感した。

-完-
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