カフカさん:判決 

2017, 02. 19 (Sun) 00:50

近代小説の面白さを知る切っ掛けになった短編。

審判とか訴訟って呼ばれてる有名な長編があって、それと和訳のタイトルが似てるけど、それとは別作品。
こっちは岩波文庫の短編集に乗ってる小品。

代表作のひとつと言われる変身よりも、個人的にはこっちのが面白いと思う。

いきなり話が逸れるけど、発言小町で、カフカの変身をネタにした釣り質問があって、めっちゃ釣られてる。笑
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0519/508637.htm


…本題に戻します( ;´Д`)

高2の時に、急に活字を読みたくなって、本屋でカフカ短編集を見つけて、立ち読みした。
作者名が面白いって思ったんだよね。

第1話は、掟の門って作品。
おぉこれは面白い、と引き込まれてそのまま読み進めた。
第2話が判決で、これがかなり衝撃的だった。
その時、1000円くらいしか持ってなくてバイト代が出るのも先だったんだけど、迷わず買った。
以来、何度も読み返してる。

どんなお話か。
商売人の主人公が、寝たきり病人のパパんと会話してる。
そしたら、パパんが怒り狂って力強く立ち上がる。←元気じゃねーか
で、「自分の他にも世界がある事を思い知ったかコノヤロー。おまえに死を命じる、溺れ死ね!」ってパパんに言われて、橋からダイブする。笑
必然性とか辻褄合わせみたいな文章は皆無。笑

は?何これ?( ;´Д`)って感じの荒唐無稽なあらすじなんだけど、読んでる間は、特に破綻してる感じはないんだよね。
しかも、普通に感動したんだよね。
で、後々、思い出してみると、訳の分からない話だし、何で感動したのか自分でも理解できなかった。笑
でも、読み返すとやっぱり文章に心を惹き付けられる。

描写が素晴らしいと、相当に変てこな話でも、読み手は心を奪われる物なんだな、と思った。
ストーリーとか、共感とか、そういう要素と別次元のところにも、強い感動要素ってのがあるんだと知った。
まぁ、そうじゃなきゃ、美術にせよ音楽にせよ映画にせよ、現代芸術なんて発展してないだろうしね。

自分としては、悪い夢を見てる最中の脳みその反応を文章化してる、という理解が1番しっくり来る。
理不尽な疾走感や拘束感というか、文の重なり方に本能を刺激する物を感じた。
英訳版も読んでみたけど、同じ心理反応が得られた。

でも、それだって恣意的で狭い解釈だよなー、とも思う。

この作者は、ユダヤ人の境遇を象徴するような話を書いてる、とか予見的だ、という解説が結構多い。
分類として分かりやすいもんね。
一方、そういう要素は副産物に過ぎない、っていう説明をして、もっと踏み込んだ具体的な解析をしてる批評家も少なからずいる。
色々読んでみたけど、フランスのジル・ドゥルーズっておっさんの解説が自分には1番、本質的に思えた。
めちゃめちゃ掻い摘むと、このカフカって人は、母国語じゃない言葉(マイナー言語って言い方してる)で、その異物感を処理せず受け入れたまま小説を書いてる、と。
で、言葉の動的な側面を最大限に活かす事を優先して筆を進めた結果、ああいう作品群が出来上がったんだよ、と。

ドゥルーズさんの批評を読むと、シチュエーションはちょっとズレるんだけど、スチングさんのこの歌が浮かぶ。
https://youtu.be/d27gTrPPAyk

小説って面白いんだな、と思う切っ掛けになった。


- 完 -
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コメント

ここまふぃん

何か訳のわからないような小説ですが 、モル作さんの解説を読んで興味を持ちました。
アマゾンで買って読んでみます。 でも 英語だから眠くなるかな~ (笑

2017/02/21 (Tue) 03:50 | ここまふぃん | 編集 | 返信

モル作

ここまふぃんさん

日本語訳より英訳の方が、言語の距離が近いからか自然に読めると思います。
原題は「Das Urteil」、英語版も普通に「The Judgment」ってタイトルで短編集に収録されてます。

この人の作品は、結構コントっぽいのも多いです。
あんまり期待すると拍子抜けすると思いますが、他の作品もかなり面白いと思います。
変な話ばっかりですが、バーセルミとかよりはだいぶ楽しみやすいと思います。

2017/02/21 (Tue) 20:08 | モル作 | 編集 | 返信

やぢま

カフカで感動できるなんてモル作さんはすごいです。(・O・)Oh~
文学で感動するにも素養は必要だと思います(真顔)。

カフカ、残念ながら私は『変身』で駄目でしたぁ…
何がダメってリンゴv-378が主人公の体にめり込んで腐っていくのが駄目でしたぁ…

美しくな~い!(そこか)

2017/02/22 (Wed) 21:03 | やぢま | 編集 | 返信

モル作

やぢまさん

ああいう類の小品は結構好きでした。
百閒さんとか、漱石ちんだと夢十夜とか。

変身の最後、めっちゃりんご投げられてますね。
私はあれ、ちょっと可哀想になってしまいました。笑

カフカさんだと、の失踪者って長編は、もっとオーソドックスな意味でも面白い気がします。

2017/02/22 (Wed) 21:58 | モル作 | 編集 | 返信

ゆきなぎ

カフカは変身しか読んだことなかったのですが、なんかとても気になってきました。訳が分からないものをそのまま訳が分からない、でも感動とか気になります。
そういえば、カフカは不条理文学でしたね。
不条理文学では、僕は、アルベール・カミュが好きでした。哲学者では、キルケゴールとか、以前はまったのを思い出します。それにしてもモル作さんは、興味の幅広いですね。

2017/02/25 (Sat) 14:00 | ゆきなぎ | 編集 | 返信

モル作

ゆきなぎさん

変身はある意味、分かりやすさもあって代表作的に扱われてはいますが、他にも面白いのが大量にあるんですよ。
ゆきなぎさんの好みには結構、合いそうな気がします。

カミュさんは、有名な異邦人しか読んだ事ないですが、ペストとか読んでみたいと思ってました。

小説や人文系の読書は、20代の時にかなりはまってました。
が、職種変えをして今の職についた時に、仕事関連の専門書でちょっくら勉強しとこうと思って、読書とゲームは禁止にしたんです。
で、そういう習慣がなくなっちゃったせいか、時間に余裕がある今も、もう本は読んでないです。
今はもう完全に、おピアノですな。

2017/02/25 (Sat) 17:55 | モル作 | 編集 | 返信

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