モル作さんを求めて ~ その参 ~ 

2013, 04. 18 (Thu) 12:51


おっさん宅に来た初日、ビビりまくりのモル作さん


- つづき -

店員のねーちゃんは、虚ろな目でおっさんを見据えました。

「何だ、汚い動物だと思ったら、身も心も汚い中年男だったのね!!」

と、店員は思いました。
思ったつもりが、実際に口にしていました。

しかし、おっさんは意に介しません。
そんな事は1日に24回くらいは言われているからです。

店員がモルモットの入った籠を、フロアの中央に引っ張り出しました。

その物体は、やはりモルモットでした。
全体的に、ホルスタイン牛のような白黒模様で、一部に薄茶色の毛が生えています。
体長は、30cm近くあり、ペットショップにいるフレッシュなモルモットにしては、随分と巨体です。
その大きな身体が、40cm × 50cm程の籠の中で、もぞもぞと蠢いていました。

「…この子は何歳ですか?」

「え~と、、少々お待ち下さい。。でも、この子はあんまりお勧めしませんよ…?」

「え…どどどうしてですか?」

「もう誰にも懐かないと思います」

「…」

店員は、モルモットの年齢を確認しに、お店の奥へ行きました。
この時点で、籠の囲いのような物は取り払われていましたが、モルモットは一歩も動かないまま固まっています。

店員が書類を確認したところ、モルモットは2010年2月生まれで、既に生後2年4ヶ月でした。
人の年齢に換算すると、37歳です。

「えっと…オスです」

曰く、売れないまま今に至るとの事。

後におっさんがこのお店のホームページを確認したところ、2010年3月にモルモットを2頭入荷したという記事が載っていました。
そのうち1頭は、記事が書かれた時点で既に売れていたそうです。
以来、この売れ残ったモルモットは、2年半近く、小さな籠の中で飼われ続けていたという訳です。

入荷当時の写真
(転載の許可はもちろん取ってません)


「こんなに可愛いのにねぇ~」

店員は、モルモットを撫でながらそう言いました。
モルモットは撫でられる度に、びくっ、びくっと強張りました。
全然懐いてません。

恐らく、ここまで成長し切っていて、しかも、人と録にコミュニケーションを取った事もないと容易に推測できるモルモットが、今更売れるとは思えません。
恐らく、死ぬまでここで暮らす事でしょう。
お店側も、そう思っているのでしょう。
他の動物のケージには全て値札が付いているのに、モルモットの籠には値札が付いていません。
おっさんは、とても切なくなりました。

お店の奥から足音がしました。
目を向けると、泉谷しげるのようなおっさんが現れました。

「お、何だ、モルモット買うのか?」

「あ、はい、飼います。売って下さい」

「よしきた、え~と…3000円でいいや。草と水飲み器も付けてやるよ。よし、決まり」

サクッと決まり、泉谷しげるのようなおっさんは、無造作にモルモットを掴むと、段ボールに放り込みました。
モルモットは涙目で、ばたばた抵抗してました。
あの涙目は、今でも忘れられません。

泉谷しげるじゃない方のおっさんは、モルモットをタクシーで連れ帰りました。

こうして、モルモットはモル作さんになりました。

- 完 -
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント